建設業を営む個人事業主から中小企業経営者の方々にとって、事業拡大や大型案件の受注を考えたときに特定建設業が浮かぶと思います。その中でも「指定建設業」の許可は非常に厄介です。特に公共工事や大規模プロジェクトへの参加を目指す場合、この許可の有無が仕事の幅を大きく左右します。しかし「指定建設業って何?」「一般建設業との違いは?」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。この記事では、横浜・横須賀エリアで活動する建設業者の皆様向けに、指定建設業の基礎知識から許可取得のメリットまでをわかりやすく解説します。

この記事を読むと分かること

  • 指定建設業と一般建設業の違い
  • 指定建設業に分類される7つの業種とその特徴
  • 特定建設業と指定建設業の関係性
  • 指定建設業の許可を取得するメリット
  • 横浜・横須賀エリアでの許可申請手続きのポイント

指定建設業とは?他の建設業種との違いを解説

「指定建設業」とは、建設業法で特別に定められた7つの業種のことを指します。これらの業種は、工事の規模や技術的難易度が高く、特に高度な専門知識と技術を要するため、建設業法で特別に規定されているのです

その他の一般的な建設業許可と比べると、指定建設業では技術者の資格要件が非常に厳しくなっています。例えば、現場で工事を管理する技術者には、国土交通大臣が定めた国家資格が必要でより高い資格が求められます。これは工事の安全性や品質を確保するためであり、大規模な工事ほどこの点が重視されるのです。

指定建設業が生まれた背景

指定建設業の制度が作られた背景には、大規模工事における安全性の確保という社会的要請があります。特に土木建築工事や電気工事などは、ミスが大きな事故や損害につながる可能性があるため、高い技術力を持つ業者に限定して施工を許可する仕組みが必要だったのです。

現在も、大型の公共工事や重要インフラの工事では、この指定建設業の許可を持つ業者が優先的に選ばれる傾向にあります。

指定建設業の7業種とそれぞれの特徴

指定建設業に分類される7つの業種は、それぞれに特徴と専門性があります。これらの業種について詳しく見ていきましょう。

業種名主な工事内容最近の動向
土木工事業      道路、ダム、橋梁、トンネルなどの公共インフラ建設、地盤造成、河川工事自然災害後の復旧工事ニーズが増加、防災・減災技術の進化
建築工事業住宅、ビル、工場など建物の建設、大規模商業施設や高層ビルの建設環境配慮型建築や高耐震性能の建物需要が増加、ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)への対応
管工事業給排水設備、空調設備、ガス設備などの配管工事省エネ技術の発展により専門性が向上、スマートビルディング対応の需要増加
鋼構造物工事業鉄骨構造物、橋梁、タンクなどの鋼材を使った構造物建設耐震性・耐久性要求の高まり、新素材・新工法の導入
舗装工事業道路、ランウェイ、駐車場などの舗装環境配慮型の透水性舗装や騒音軽減舗装技術など新技術の導入
電気工事業建物や施設の電気設備の設計・施工、配線工事、電力設備、自動制御システムIoTやスマートビルディングの普及により高度な知識と技術が必要
造園工事業公園、庭園、緑地などの計画・設計・施工、植栽生物多様性への配慮、ヒートアイランド対策としての都市緑化推進

指定建設業と特定建設業の違い

「指定建設業」と「特定建設業」は似た言葉で混同されがちですが、実際には異なる概念です。

指定建設業は「業種の分類」であり、全部で29業種ある建設業の中で、特に指定された7つの業種を指します。

一方、特定建設業は「許可の種類」であり、下請契約の請負代金の額が一定以上(4,500万円以上、建築一式工事の場合は7,000万円以上)となる工事を請け負う場合に必要な許可です。

例えば電気工事業の許可を取る場合、指定建設業苦いとするため他の一般的な建設業許可よりも厳しい基準をクリアする必要があるのです。

指定建設業における技術者要件

指定建設業の許可を取得するうえで、最も重要なのが技術者要件です。特に特定建設業許可の場合、監理技術者の資格要件が厳しく設定されています。

指定建設業(7業種)業種ごとに必要な1級国家資格等

指定建設業7業種の場合、1級国家資格等を保有することが監理技術者になるための要件となります。

指定建設業7業種は、「土木工事業」「建築工事業」「電気工事業」「管工事業」「鋼構造物工事業」「舗装工事業」「造園工事業」となります。以下の表では、それぞれの業種において監理技術者になるために必要な1級国家資格等をまとめています。

業種必要な1級国家資格等
土木工事業1級土木施工管理技士、1級建設機械施工技士、技術士
建築工事業1級建築施工管理技士、一級建築士
電気工事業1級電気工事施工管理技士、第1種電気工事士、1級計装士、技術士
管工事業1級管工事施工管理技士、1級計装士、技術士
鋼構造物工事業1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士、一級建築士、技術士
舗装工事業1級土木施工管理技士、1級建設機械施工技士、技術士
造園工事業1級造園施工管理技士、技能検定造園技能士、技術士

参考資料:建設業許可申請の手引き-令和4年度版-

重要なのは、指定建設業では実務経験だけでは監理技術者になれないという点です。必ず国家資格の取得が必要となります。

専任技術者と監理技術者の違い

建設業許可申請には「専任技術者」の配置が必要ですが、これは会社に常勤する技術者のことを指します。一方、「監理技術者」は実際の工事現場に配置する技術者です。

小規模な会社では同じ人物が両方の役割を担うこともありますが、事業拡大に伴い複数の現場を同時に進行させる場合は、それぞれの現場に監理技術者(または主任技術者)を配置する必要があります。

技術者の確保が難しい場合の対策

中小規模の建設会社にとって、資格を持った技術者の確保は大きな課題です。対策として以下のような方法が考えられます。

  1. 社内の有望な人材に資格取得を促し、支援する
  2. 資格保有者を新たに雇用する
  3. 一時的に他社から技術者を派遣してもらう(建設業法の条件を満たす必要あり)

特に1の方法は長期的な人材育成の観点からも重要です。資格取得支援制度を設けることで、従業員のモチベーション向上にもつながります。

専門家に相談するメリット

建設業許可の申請は複雑で、書類の不備などがあると審査が遅れる原因になります。特に初めての申請や、一般建設業から特定建設業への変更申請の場合は、専門家のサポートを受けることでスムーズに進めることができます。

当事務所では、横浜・横須賀エリアの建設業者様向けに、以下のようなサポートを提供しています。

  1. 無料相談による現状分析と最適な申請方法の提案
  2. 申請書類の作成代行
  3. 許可要件を満たすための事前準備のアドバイス
  4. 行政とのやり取りの代行
  5. 許可取得後の変更届や経審、入札、更新手続きのサポート

特に指定建設業の特定建設業許可は要件が厳しいため、専門家のサポートを受けることで、スムーズな許可取得が可能になります。

よくある質問と回答

指定建設業の許可に関して、多くの方が疑問に思う点について回答します。

指定建設業の許可を取得するための最低資本金はいくらですか?

特定建設業許可を取得する場合、最低資本金(純資産合計)は4,000万円以上が必要です。一般建設業許可の場合は500万円以上の資金調達能力となります。ただし、これは法人の場合であり、個人事業主の場合は金額が異なります。

監理技術者は社員でなければならないのですか?

原則として、監理技術者は直接的かつ恒常的な雇用関係にある社員である必要があります。派遣社員や短期契約社員では認められないケースがほとんどです。

参考資料:監理技術者等の直接的かつ恒常的な雇用関係

指定建設業と一般建設業の両方の許可を取得することは可能ですか?

可能です。例えば、電気工事業(指定建設業)の特定建設業許可と、内装仕上工事業(指定建設業以外)の一般建設業許可を同時に持つことができます。事業の幅を広げるため、複数の業種で許可を取得する建設会社も多くあります。

許可の更新手続きはどのように行いますか?

建設業許可は5年ごとの更新が必要です。有効期限の30日前までに更新申請を行う必要があり、必要書類は新規申請とほぼ同じです。更新を忘れると許可が失効してしまうため、管理を徹底しましょう。

まとめ:指定建設業許可で事業拡大を目指す

特定建設業許可の取得、中でも指定建設業に挙げられている業種での許可取得はは、そのハードルの高さからも会社の成長戦略において重要なステップです。公共工事や大型プロジェクトへの参入、企業価値の向上、優秀な人材の確保など、多くのメリットをもたらします。

ただし、許可取得には技術者の確保や資本金の要件など、クリアすべき課題も少なくありません。特に技術者要件は厳しく、国家資格を持つ優秀な人材の採用、または計画的な人材育成が必要です。

横浜・横須賀エリアで建設業を営む皆様にとって、指定建設業の許可取得は事業拡大の大きなチャンスとなります。地域のインフラ整備や都市開発プロジェクトに参画することで、会社の成長だけでなく、地域社会への貢献にもつながるでしょう。

許可申請の手続きは複雑ですが、専門家のサポートを受けることで、スムーズに進めることができます。当事務所では、建設業許可に関する無料相談を実施していますので、お気軽にご相談ください。

代表行政書士
中尾幸樹

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