親族とは、家族の絆で広がる人間関係のことです。血のつながりや婚姻によって結ばれた人々を指し、法律上さまざまな権利や義務が生じる重要な関係です。身近な存在でありながら、その範囲や定義について曖昧に感じる方も多いのではないでしょうか。この記事では、親族の基本的な概念から、相続に関わる具体的な事例まで、わかりやすく解説します。

1. 親族の定義と範囲

親族の定義と範囲は、民法第725条に明確に定められています。
この法律によると、親族には次の3つの種類があります。

  • 6親等内の血族
  • 配偶者
  • 3親等内の姻族

これらの関係にある人々が、法律上の「親族」として認められます。

1-1. 民法で定められた親族の範囲

血族

血のつながりがある人々のことを指します。例えば、あなたの両親、祖父母、子供、孫、兄弟姉妹、おじ・おば、いとこなどが含まれます。民法では、6親等内までの血族を親族と定めています

配偶者

結婚によって結ばれた夫または妻のことです。法律婚をしている場合のみ、配偶者は親族として認められます

姻族

結婚によってできた親族関係のことです。例えば、配偶者の両親(義理の父母)、配偶者の兄弟姉妹(義理の兄弟姉妹)などが含まれます。民法では、3親等内までの姻族を親族と定めています

1-2. 血族と姻族の違い

血族と姻族の大きな違いは、その関係の成立と終了の仕方にあります。

血族関係出生によって自動的に発生します。 一度成立すると、通常は終了することはありません

姻族関係婚姻によって成立します。 離婚によって終了します(民法第728条第1項)。
配偶者が亡くなった場合、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示すれば終了します(民法第728条第2項)。

2. 親族関係から生じる権利と義務

親族関係には、法律によって定められたさまざまな権利と義務があります。
ここでは、特に重要な相続権と扶養義務について説明します。

2-1. 相続権と親族

相続権とは、人が亡くなった後にその財産を引き継ぐ権利のことです。親族関係にある人々の中でも、特に近い関係にある人たちが相続権を持ちます。

相続権を持つ主な親族: 配偶者、子供、父母、兄弟姉妹

これらの人々が法定相続人となり、定められた順序と割合に従って相続を行います。

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2-2. 扶養義務と親族

扶養義務とは、生活に困っている親族を助ける義務のことです。民法第730条では、「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない」と定められています。

扶養義務がある主な関係: 親子間(直系血族)、祖父母と孫の間(直系血族)、同居している兄弟姉妹や親戚の間

ただし、扶養の程度や方法は、扶養する側とされる側の生活状況や収入などを考慮して決められます。

3. 親族関係の終了

親族関係は、いくつかの理由で終了することがあります。主な終了の原因として、離婚と養子縁組の解消があります。

3-1. 離婚による姻族関係の終了

民法第728条第1項によると、姻族関係は離婚によって終了しますつまり、離婚すると、配偶者の親族との法律上の関係がなくなります

ただし、子供と元配偶者の親族との関係は継続します。これは、子供の福祉を考慮してのことです。
子供の福祉のための措置ですが、後に相続問題に発展する火種になり得ます。何故なら配偶者の子であるということは、後に法定相続人になる為です。
片一方が再婚をして子をもうけていた場合にはその子らと相続の手続きをしなくてはなりません。

このようなケースでは特に遺言を事前に準備しておくことがお勧めです。

3-2. 養子縁組の解消

養子縁組によって生じた親族関係は、離縁(養子縁組の解消)によって終了します。

民法第729条では、「養子及びその配偶者並びに養子の直系卑属及びその配偶者と養親及びその血族との親族関係は、離縁によって終了する」と定められています。

ただし、実の親子関係は養子縁組や離縁によって変わることはありません。 (特別養子縁組を除く)

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4. まとめ

親族関係は、私たちの生活に深く結びついた重要な法的概念です。血のつながりや婚姻によって生じるこの関係は、相続や扶養といった重要な権利義務の基礎となります。
主なポイント:

  • 親族の範囲は民法で明確に定められている
  • 血族、配偶者、姻族の3種類がある
  • 親族関係から相続権や扶養義務が生じる
  • 離婚や養子縁組の解消によって、一部の親族関係が終了する

社会の変化に伴い、親族法も常に見直しの議論が行われています。夫婦別姓や同性婚など、これからの時代にふさわしい制度のあり方を、私たち一人一人が考えていく必要があるでしょう。 親族関係について理解を深めることで、家族や親戚との関係をより良いものにすることができるかもしれません。また、将来的に直面するかもしれない相続や扶養の問題に対しても、適切に対処できるようになるでしょう。

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