確実な財産承継を実現!特定財産承継遺言の活用法

大切な財産を思い通りに相続させたい、でも遺言書を書いても上手くいくか不安…。そんな悩みを抱える方々に朗報です。「特定財産承継遺言」を使えば、特定の財産を確実に希望の相続人に引き継ぐことができます。相続トラブルを防ぎ、スムーズな財産承継を実現する特定財産承継遺言の仕組みと活用法を、分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたの相続に関する不安が解消され、安心して次世代への財産承継を計画できるようになるでしょう。専門的な知識がなくても大丈夫、一緒に特定財産承継遺言のメリットを見ていきましょう。

特定財産承継遺言とは?確実な財産承継を実現する方法

特定財産承継遺言とは、簡単に言えば、「誰に何を相続させるか」を具体的に決めておく遺言のことです。例えば、「私の持っている〇〇市〇〇町の家を長男に相続させる」というように、特定の人(この場合は長男)に特定の財産(この場合は家)を相続させると決めておくのです。

この方法は、遺産相続で揉めることを防ぐのに役立ちます。なぜなら、誰が何をもらうかがはっきりしているからです。特に、家や土地、貴重品など、分けにくいものがある場合に便利です。

法律的には少し難しい話になりますが、この特定財産承継遺言は「遺産分割方法の指定」という扱いになります。つまり、亡くなった方の意思として、遺産の分け方をあらかじめ決めておくということです。

大切なのは、この遺言があると、特別な事情がない限り、その方が亡くなった瞬間に決められた通りに財産が相続されるということです。つまり、すぐに相続が完了するので、相続人の間で話し合いをする必要がなくなり、スムーズに相続が進むのです。

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特定財産承継遺言を放棄する方法

特定の財産を指定した遺言というのは、例えば「息子に山林を相続させる」というように、誰に何を相続させるかを具体的に決めておく遺言のことです。ところが、このような遺言で指定された財産を、指定された人が相続したくない場合があります。例えば、遺言で賃貸アパートを相続することになった息子さんが、遠くに住んでいてアパートの管理が難しいため、「家族みんなで話し合って分けたい」と思っているような場合です。しかし、このような場合、息子さん一人の考えだけでは遺言の内容を変えることはできません。なぜなら、このタイプの遺言があると、亡くなった方の死亡と同時に、遺言通りに財産が相続されてしまうからです。では、どうすればいいのでしょうか。方法は主に2つあります。

1つ目の方法は、他の相続人全員の同意を得ることです。全員が「遺言とは違う方法で遺産を分けよう」と合意すれば、息子さんの希望通りに話し合いで分けることができます

2つ目の方法は、相続放棄をすることです。これは、相続する権利を全て放棄する方法です。ただし、注意が必要です。相続放棄をすると、アパートだけでなく、他の全ての遺産(例えば現金の取り分も)を相続する権利がなくなってしまいます。

つまり、1つ目の方法ならアパート以外の遺産をもらえる可能性がありますが、2つ目の方法では何ももらえなくなる可能性があります

このように、特定の財産を指定した遺言で指定された財産を相続したくない場合、簡単には断れないのが現状です。
遺言は遺す側においても相続人の気持ちや立場にたって考えていかねばなりません。

特定財産承継遺言のメリットと活用方法

特定財産承継遺言には、以下のようなメリットがあります:

  1. 自身の持つ特定の財産を特定の相続人へ確実に引き継げる
  2. 遺産分割協議が必要ない
  3. 遺留分を考慮して設定すれば、遺留分侵害請求のリスクも軽減

例えば、「自宅は介護してくれた長男に」「事業用の不動産は会社を継ぐ次男に」「銀行預金は長女に」といった、財産に応じたきめ細かな指定が可能になります。
これにより、遺言者の想いを確実に実現し、円満な相続を促進することができるのです。
*遺言者の「全財産」を相続させる遺言や、「割合を指定」して相続させる遺言などは、この「特定財産承継遺言」にはあたりません。その為、そのような分割方法が指定されていた場合には、遺産分割協議が必要になる事があります。

特定財産承継遺言で実現する柔軟な相続対策

特定財産承継遺言を活用することで、家族の事情や資産の特性に応じた柔軟な相続対策が可能になります。

家族の事情や資産の特性に応じた財産承継

特定財産承継遺言では、以下のような柔軟な対応が可能です:

  1. 家族経営の会社の株式を事業継承者に確実に相続させる
  2. 思い入れのある不動産を特定の相続人に引き継ぐ
  3. 相続人の生活状況や貢献度に応じて、適切に財産を分配する

これにより、画一的な遺産分割では対応しきれない複雑な家族関係や多様な資産構成にも、適切に対処することができます。

相続人指定と遺産分割の確実な実行

特定財産承継遺言では、相続開始後すぐに指定された相続人に財産が移転します。これにより:

  1. 相続人間の争いを未然に防ぐ
  2. 迅速な相続手続きが可能になる
  3. 事業承継などの重要な財産移転を確実に実行できる

例えば、「家族経営の会社の株式は長男に」と指定すれば、相続開始と同時に他の相続人の合意なしに長男が株式を取得することができますし、他の相続人についても同様に他の相続人との合意が不要で相続手続きを迅速に進めることが可能です。

特定財産承継遺言を成功させるポイント

特定財産承継遺言を効果的に活用するには、いくつかの重要なポイントがあります。

専門家のサポートと正確な財産評価の重要性

特定財産承継遺言を作成する際は、以下の点に注意が必要です:

  1. 弁護士や行政書士、公証人など、専門家のアドバイスを受ける
  2. 財産の正確な評価を行う
  3. 法的手続きを正しく踏む

専門家のサポートを受けることで、法的な問題や税務上の問題を回避し、より確実に遺言者の意思を実現することができます。また、自筆証書による遺言が無効になる心配を回避する為に、特定財産承継遺言を作成する時には、公正証書にすることをおすすめします。

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  1. 相続財産全体の価値を正確に把握する
  2. 各相続人の遺留分を計算する
  3. 遺留分を侵害しない範囲で財産を分配する

遺留分を考慮して適切に遺言を作成することで、将来的な遺留分減殺請求のリスクを軽減し、より確実な財産承継を実現できます。

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まとめ

特定財産承継遺言は、確実な財産承継を実現する強力なツールです。この遺言方式を活用することで、以下のようなメリットが得られます:

  1. 特定の財産を確実に希望の相続人に引き継げる
  2. 遺産分割協議をしなくて済む
  3. 家族の事情や資産の特性に応じた柔軟な相続対策が可能

ただし、効果的に活用するためには、専門家のサポートを受けながら慎重に進めることが重要です。正確な財産評価や遺留分の考慮など、細心の注意を払って遺言を作成しましょう。

相続は単なる財産の分配ではなく、家族の歴史や想いを引き継ぐ大切な機会です。特定財産承継遺言を活用し、あなたの大切な想いと財産を、確実に次の世代へと託してください。専門家に相談し、あなたの家族に最適な特定財産承継遺言の作成を検討してみてはいかがでしょうか。

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